あやつり糸の世界[後編]

前編の続きから。フリッツ(アインシュタイン)を殴り倒すシュティラー。
エーデルケルンに事情を説明してフリッツを取り押さえ、コンピュータ室へ向かう。

コンピュータ室、アインシュタインをシミュラクロンの中に再び送り込む。
フリッツとアインシュタインの意識が入れ替わったのはホルムの誤操作によるものらしい。
やがてフリッツの意識が戻る。

シュティラーはマヤのアパートを訪れるが人の気配が無い。
通りかかった掃除夫によると、6週間前に病院に運ばれて以来療養中で留守らしい。
彼はシュティラーがアパートを訪問していた事実を覚えており合鍵で中に入れてくれたが、中は以前と打って変わって散らかっていた。

フランツにアインシュタインの件を相談するシュティラー。
フランツはアインシュタインが話した「現実がシミュレーション」という話も意識の入れ替わりも信じていないが、かまわず持論をまくしたてる。
「フォルマ―は上の存在に気付いて消された。ラウゼもそう。」
「この世界がシミュレーションなら、そこかにアインシュタインのような連絡員が居るはずだ」

「マヤも消されたのだ」と言い張るシュティラーはフランツを連れてマヤのアパートへ戻る。
部屋は奇麗に片付いており、そこには元気なマヤが居た。
1時間前に療養先から戻ったらしい。納得が行かないシュティラーは部屋を去り、残されたマヤとフランツはキスを交わす。

ラウゼ存在の証拠として、ラウゼの行方不明記事を求めて新聞社を訪れたシュティラー。
ルップの助けで目的の日付の記事を見つけるも記憶と違って記事が無く、麻薬組織の記事に差し替えられていた。
記事を書いたローマの記者、ジーモンへ電報での問い合わせを依頼するシュティラー。

ルップの告発ともとれる報道によってジスキンスと企業の繋がりが公に。
研究所の技術は公共のためにあるべしと科学省も調査に乗り出す。

「連絡係」がジスキンスかホルムと見込みを付けたシュティラーは二人にカマをかけるが交わされる。
シュティラーはシミュラクロンの中にジスキンスを模したプログラムを入力して見せ、
中のジスキンスは役者かコメディアンのようで、外のジスキンスはそれを見て面白がる。

シュティラーは激しいめまいに襲われ。保安部のスタッフに抱えられて何とか帰宅する。

次官と研究所幹部の会議。
ホルムは、シュティラーが本来の目的とは異なるプログラムを入力していると、シミュラクロンの私用利用疑惑について告発する。
シュティラーは喧嘩腰でそれに応え、次官にも実存についての問いを投げかける。
次官はシュティラーの問い、精神状態がフォルマ―にそっくりだと指摘。
ジスキンスは精神錯乱を理由にシュティラーを解任し、ホルムを後任に据える。

ジーモンから届いた電報の回答を受け取るルップ。
「病欠のため麻薬組織の記事など書いた覚えが無く、当日の紙面はラウゼ消失だったはず」という。
シュティラー解任のニュースと合わせて、陰謀の気配を感じるルップ。

解任されたシュティラーに自身がジスキンスのスパイであったことを明かし、謝罪するグロリア。
彼女はジスキンスの愛人であり、操り人形である立場に快感を得ていたと告白する。ともに夜を過ごすグロリアとシュティラー。

フリッツを締め出し、シミュラクロンを掌握したジスキンスとホルム。
ハルトマンに依頼された需要分析の仕事に着手する。

もはやジスキンスにとって用済みとなったシュティラーは「狂人」として警察に追われる身となる。
グロリアの助けで一足早く逃走に成功し、エヴァのアパートへと向かうがやはり誰も居ない。
必死で逃げるジスキンスの前にルップが現れ、彼を救う。

日刊新聞のオフィスに匿われたシュティラー。
中にはフランツが待ち受けていた。彼はルップの協力者であり、研究所の内部事情について情報を流していたのであった。
フランツはフリッツをリーダーにストライキを起こし、シュティラーの復帰を訴えるつもりらしい。
2人にジーモンの電報の件を伝えるルップ。シュティーラーは勝ち誇ったような表情を浮かべ、フランツは何かを思い出そうとするかのようにラウゼの名を唱える。
フランツは自分もシュティラーと同じ妄想に取り憑かれ始めたことを認め、2人で連絡個体を探し出そうと協力を申し出る。

公衆電話でエヴァと話すシュティラー。
車で一人待っていたフランツは一人で何やら考えふけっていたが、突如車ごと川に飛び込み謎の自殺を遂げる。

ショッピングモール、ショーレストランを転々として部屋の張り込みが外れるのを待っていたシュティラー。
自分の車を取り戻し、郊外の別荘に潜伏する。
シュティラーは別荘に近づく車の気配を感じ、現れた車を猟銃で撃つ。車に乗っていたのはエヴァだった。
幸い怪我はなく、エヴァはシュティラーが心配で来たのだと訴えるが、シュティラーは「危険だから」とエヴァを突っぱねる。
別荘を去っていくエヴァを見守るシュティラーだったが、彼女は車に乗らず、森の中へと歩いていく。
次の瞬間、彼女が居たはずの場所には一匹のジャーマンシェパードが居るばかりであった。
「なぜ彼女はこの場所が分かった?」「彼女が連絡個体だったのか?」様々な思考が脳裏を過ぎるシュティラーの元に、突如巨木が倒れてくるが間一髪で避け、別荘の中に戻る。
いつの間にか別荘内に入り込んだ野鳥に猟銃を乱射するシュティラー。ガスが漏れ、別荘は粉々に吹き飛ぶ。
何とか逃げおおせていたシュティラーは警察の検問を避けながらあてどなく彷徨い、社交クラブらしき建物へと迷い込む。

疲弊したシュティラーの前にエヴァが銃を構えて現れ、事の真相を語り出す。
連絡個体は存在しない(かつては居たが間違いだったとしてずっと前に消去されたらしい)こと。
フォルマ―は上の世界によって消された(上の世界を認識した個体は初めてだったので観察していたが、やがてシステムへ異常をきたすとして消さざるを得なかった)こと。
ラウゼも同様に上の世界によって消されており、エヴァは丁度その前後に上の世界から来た監視者であること(それ以前のエヴァについての記憶は全て作り物)(時折唐突に居なくなるのは上の世界へ報告に戻っていたから)。
「俺も同じように消すのか」と観念したシュティラーだが、エヴァはシュティラーへの愛を語り、救いに来たと言う。
シュティラーの消去は明朝の予定であり、エヴァは夜間の人が居ない隙を狙ってこちらの世界に来たらしい。
「なぜ虚構の俺を愛する?」と問うシュティラーに、エヴァは「貴方は私の好きな人に似ている」と返す。
実はシュティラーは上の世界のシュティラーを模したプログラムであり、上の世界のシュティラーはシミュレーションモデルの開発者であった。
上の世界のシュティラーは小さな世界を支配する全能感に酔った誇大妄想狂で、仮想世界の人間が悩み苦しむのを見て楽しんでいるとエヴァは語る。
「この世界の貴方が好き」とエヴァは告白し、2人は夜を共にする。

翌日、引き留めるエヴァを張り倒しシュティラーは研究所へ戻る。止まらないめまい。
研究所ではフリッツとグロリアをリーダーとしたストライキが巻き起こっていた。
ストライキの混乱の中、警備隊に撃たれ倒れるシュティラー。

血濡れのシュティラーの脳裏にベッドサイドに座るエヴァの姿が浮かび、やがて見知らぬベッドの上で目を覚ます。
仮想世界のシュティラーが死んだ瞬間、シュティラーの意識を上の世界に転送したのだとエヴァは語る。
形を確かめるようにエヴァに触れ、抱き合い笑い合うシュティラー。
「俺は存在してる」と噛み締めるように語り、エヴァと口づけを交わす。

[後編スタッフロール]

 

感想

凄まじく淡々としてて眠くなる映画だったのでメモしながら見たらこの文量に。

しかし見終わってみると「ファッションがかっこいい」ぐらいしか言うことなかった。